
カバーピクチャー / ACS Nano / March 10, 2026 Volume 20, Issue 9
https://pubs.acs.org/toc/ancac3/20/9
Abstract
絶縁体–金属転移(insulator–metal transition, IMT)を示す相関酸化物(correlated oxides)の相エンジニアリングは、電子および光電子デバイス応用に向けたプログラマブル機能を実現する有望な手法である。しかし、強い格子–電子結合のために、相関酸化物においてオンデマンドで物性を制御するための空間的に高精度かつ不揮発な相制御は依然として困難である。
本研究では、VO₂とV₂O₃という相関酸化物間のトポタクティック変換を利用して、秩序化されたスケーラブルな多相ドメインを形成し、デバイス上での相再構成と光熱電機能の直接的な付与を実証する。特に、レーザー駆動による変換により、大気条件下においてリソグラフィを用いずに、V₂O₃マトリックス中に高空間分解能でVO₂ドメインをその場でパターニングすることが可能となる。
構造解析および有限要素シミュレーションにより、VO₂/V₂O₃ヘテロ界面における格子不整合に起因する、歪んだ単斜晶VO₂の相不均一性、エピタキシャル配向、ならびに格子異方性が明らかになった。温度依存ラマン分光により、レーザーパターニングされたVO₂ドメインにおいて、熱によって駆動される可逆的なIMTが確認された。
空間分解フォトカレントマッピングにより、レーザー形成されたVO₂ドメインにのみ現れ、未処理のV₂O₃には存在しない新規な光熱電応答が明らかとなり、その極性および大きさはゼーベック機構と一致した。
本研究は、相関酸化物における相選択的エンジニアリングのためのスケーラブルかつプログラマブルな戦略を確立し、空間分解型エネルギー変換および再構成可能な光電子デバイスへの応用可能性を示す。

