
カバーピクチャー / Applied materials&interfaces / December 17, 2025 Volume 17, Issue 50
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.5c16066
Abstract
混合次元 MoS₂–InGaN/GaN 量子井戸ヘテロ接合における層間エキシトンの観測
化合物半導体と遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)からなる混合次元ヘテロ接合(HJ)は、界面エキシトン動力学を制御するための多様なプラットフォームを提供する。化合物半導体は、広いスペクトル範囲にわたるバンドギャップ調整が可能な精密な組成制御を有する一方で、エキシトン結合エネルギーが小さいため、室温でのエキシトン安定性が制限されるという課題がある。混合次元ヘテロ接合は、強い量子閉じ込め効果と低い誘電遮蔽を持つ TMDC と化合物半導体を統合することで、この制約を克服し、強化された光–物質相互作用を伴う安定な層間エキシトンの形成を可能にする。
本研究では、層間エキシトンの挙動を調べるため、三層 MoS₂ と Al₂O₃/InGaN/GaN 単一量子井戸(QW)からなる混合次元ヘテロ接合を実証した。量子井戸における量子閉じ込め効果により、キャリアはヘテロ界面近傍に局在化し、層間エキシトン状態を直接観測することが可能となる。低温フォトルミネッセンス測定の結果、2.02 eV に明確な発光ピークが観測され、ヘテロ界面における層間エキシトンの形成を示唆している。本研究で示した手法は、混合次元系におけるエキシトン動力学を設計するための新たなアプローチを提供し、界面エキシトン動力学を活用した光電子デバイスへの応用に重要な示唆を与える。

