
カバーピクチャー / Energy & Environmental Science / 13 January 2026, Issue 1,
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2026/ee/d5ee05571g
Abstract
本研究では、世界63か国を対象としたアンモニア供給チェーンに関する包括的な技術経済的および環境評価データベースを構築した。灰色(グレー)、青色(ブルー)、黄色(イエロー)、ピンク、緑色(グリーン)といった多様な製造技術と下流物流を対象とし、統一された評価フレームワークを用いてアンモニアの均等化コスト(LCOA)およびライフサイクル温室効果ガス(GHG)排出量を定量化した。
その結果、世界的に大きなコスト差が存在することが明らかとなり、低コストエネルギー資源が豊富な地域は、輸送コストを考慮しても顕著な経済的優位性を有することが示された。また、資源制約のある市場では、輸入が国内生産を上回る競争力を持つ場合があることも確認された。
GHG性能についても製造経路ごとに大きな差が見られ、炭素回収・貯留(CCS)を適用した自己熱改質(auto-thermal reforming)アンモニアは最も低いCO₂削減コストを示した一方、グリーンアンモニアは最も低いGHG排出原単位を示した。長距離の海上輸送は、コストおよび炭素削減の両面での優位性を損なう可能性があり、貿易ルートおよび物流選択の最適化の重要性が示唆される。
さらに、世界的な脱炭素化オプション分析により、ブルーアンモニアへの全面移行は総コストを23.2%増加させる一方でGHG排出量を70.9%削減でき、グリーンアンモニアへの全面移行では総コストが46.0%増加するものの、GHG排出量を99.7%削減できることが定量的に確認された。
本研究は、これまでで最大規模となる統合的なグローバルアンモニア供給チェーンデータセットを提供し、国別のコストおよび排出量比較を可能にするとともに、アンモニアをグローバルなエネルギーキャリアとして展開するための供給チェーン・投資最適化および政策設計を支援する基盤を提供する。

